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ルリボシカミキリの青 福岡伸一 [本]

この本は週刊文春に連載されている福岡伸一さんのコラム「福岡ハカセのパラレルターンパラドクス」を書籍にしたもの。文庫になる前に同タイトルの単行本がありましたが、単行本はやはり高いので文庫落ちするのをずっと待っていた1冊です。福岡ハカセの本は今までに「生物と無生物のあいだ」「世界は分けてもわからない 」「できそこないの男たち 」を読んできました。どれも読みやすくおすすめの本たちです。

さて今回の「ルリボシカミキリの青」は65編ものコラム集ですが面白さは抜群。
どのコラムも生物のセンス・オブ・ワンダーを感じられるものですが、ここではちょっと変わったところで「入試問題頻出著者」というコラムから紹介。
福岡ハカセも自身が書いたものを入試問題や模擬試験に使われるそうで、その後送られてくる問題の解説を読むと思いもよらぬ深読みをされていて驚いている。

S台予備校は、私の書いた新書のエピローグをまるまる使って模擬試験を作っていた。添えられた分厚い解説を見て、その深い読みに私は脱帽した。~省略~すごいなあ。こんなことは書いている最中には(そして書いたあとも)著者自身、全く思いつかなかったことである。


国語の問題とはその問題を作った出題者の考えを受験生が解くということで、解答は必ずしも著者の考えや思ったこととは一致しないんですね。
真面目に著者がどのように思ったかなんて考えていたんじゃ良い点数は稼げないのが受験問題ってことですか。

次は思わず笑ってしまう問題。

私は、狂牛病を研究しているので、病原体プリオンについての小難しい著書がある。H大学には、わざわざそこから一文を引用していただいた。「ヨーロッパでは、古くから羊、牛、ブタなどの家畜から食用肉を取り去った残りの部分の廃物やくず肉を集めて加熱し、有機溶剤で脱脂した肉カスを…」。病気の原因となった肉骨粉飼料についての記述である。「羊」に二重線が引いてあり、問題文にはこうあった。「羊」とあるが、『羊たちの冒険』や『ノルウェーの森』などの小説の作者として知られている小説家をひとり選べ。 ア 芥川龍之介 イ 村上春樹 ウ 川上弘美 エ 宮部みゆき オ 泉鏡花。


問題文自体に致命的な間違いがあるし、そもそも福岡ハカセの文章となんの関係ないところが笑いのツボにハマッてしまった。
このコラムを読むだけでもこの本を買う価値はある。






タグ:福岡伸一
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