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聞く力 阿川佐和子 [本]

聞く力―心をひらく35のヒント

聞くだけで人の役に立つこともある。

この世には聞いてもらいたくとも聞いてもらえない人が思いの外多い。
本書の「まえがき」に東日本大地震後に自分に何が出来るのかと著者が思い悩んだ件がある、時を同じくして糸井重里も被災地に訪問する理由に悩んでいた。
その時ネットで知り合った被災者の女性に言われた言葉に、まずは避難所、さらにお墓と死体安置所に行って話を聞いてあげて欲しいと言われた。
何故か、自分の被災体験を話したくとも回りには同じように、または自分以上に大変な思いで生き延びた人々がいる中で自分のことを話したところで親身に話を聞いてはくれない。
話すことでその人自身が精神的に楽になることはカウンセリングや心理セラピーなどの心のケアというものがあることが証明している。
だから何が自分にできるのか悩んでいるよりも現地に行きただ話を聞くだけでも十分人助けになる。

思えば新聞なんかで高齢者が悪徳リホームや金融商品に騙されて無駄なお金を払わされてしまうのも、実は親身に話を聞いてくれることが嬉しく、だんだんとその人を信用してというより恩返しみたいな気持ちから言われるがままに契約をしてしまうのではなかろうか。
ならばこんなあこぎを働かずとも、話を聞いて欲しい人のところへ伺い話を聞く、というビジネスも成り立たないものだろうか。
こっちから話をしに行く商売はすでにあるのだから、その逆も高齢化社会ではありなのでは。
実はすでにあったりしてこの商い。

「まえがき」だけでツラツラとこんな考えが浮かんで来まして、署名の「聞く力」とはつまり「まえがき」に書かれていることなんだと思います。

後の35章からなる文章は阿川さんのインタビューアーという仕事から気づいた万事をエッセイ風にまとめたもの。
日常の会話で話を保たせるちょっとしたヒントが書かれていて、話下手の人には知識として知っておいて損はないと思います。

もちろん本書はそういうハウツーなところを主題としたいのでしょうが、自分が読んだ限りで、本書の中で一番心惹かれたところは、話すためのヒントなんかではなく、デーモン小暮閣下との対談の件。
阿川さんが閣下にヘヴィメタルとは?と質問し、閣下がそれに答えるところ

「ロックがいろいろな枝葉に分かれていく中で、速さと激しさを追求したものをハードロックというんですね。♪ガンガンガンガン、ガガーンガンガーンガーン、タターンターンタ、バーンバーンバーンっていう感じ」 「ほうほう」 「じゃ、早くて激しければ全部ハードロックなのかというと、そうではなくて。そこからまた枝葉がわかれていって。早くて激しいけれど、ドラマティックであったり、仰々しい決めごとを取り入れる。たとえばクラッシク音楽のワンフレーズを持ってきて、あるポイントに来たら全員がちゃんと、♪ダダダダーンみたいにベートーヴェンの『運命』のメロディーをぴったり合わせる。そういうのを様式美というんですけどね。」 「はあ~」 「簡単に言うと、様式美の要素を入れないと、ヘヴィメタルとは認定されないんです。ハードロックに様式美を持ち込むこと、それがヘヴィメタルになるというわけ」 P124


このあとまだ閣下のヘヴィメタ講義は続いてさらに、ハァ~って感じになるのです。

まさかこの本でヘヴィメタとは?を知るとは思っても見ませんでした。



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タグ:阿川佐和子
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